「年中口説(にんじゅうくどぅち)」の工工四。歌詞の日本語訳もあります。
目次
りんけんバンドの「年中口説」。とてもハードな曲なので、イージーモードも用意しました!
エイサー動画と、イージーモードの工工四。
はいたい!
宇部沖縄三線愛好会の島袋りりあです!
今日は、2年くらい前から地謡を務めている「やまぐち わらんちゃ★エイサー隊」の演舞レパートリーから、りんけんバンドの「年中口説」を取り上げたいと思います。
琉球国祭り太鼓による演舞の動画。
この曲のお話を「やまぐち わらんちゃ★エイサー隊」からいただいて以降、かれこれ2年近く、適当な耳コピで、工工四を書くこともなく弾き続けてきました。
しかし、最近 宇部沖縄三線愛好会の方々の中でエイサー地謡チームができつつあり、これまで工工四なしで演奏してきたエイサー曲の数々を生徒さんたちのためにきちんと書き起こす必要が出てきたため、少しずつ書き始めています。これもそのうちの一曲となります。
イージーモードの工工四はこちらから。
実際の林賢さんの三線の手をそのまま真似するのは至難の技です。なので、「イージーモードバージョン」の工工四を書きました(私は普段こちらを弾いています。この記事の終わりのほうで林賢さんバージョンの工工四も掲載します)。
照屋林助師匠が作詞した曲。
一見難解に思える、早口言葉のような歌詞。こちらは照屋林賢さんのお父さん、照屋林助師匠の手によるものです。
「てるりん」こと照屋林助師匠について。
照屋 林助(てるや りんすけ、1929年4月4日 – 2005年3月10日)は、音楽家、漫談家。
第二次世界大戦後の沖縄県の娯楽・芸能をリードした、「沖縄ポップカルチャー」の第一人者。
「テルリン」の愛称で親しまれた。息子はりんけんバンドのリーダー・照屋林賢で、孫にガレッジセールのゴリ(本名・照屋年之)、姪孫にモデルの知花くららがいる。
〜中略〜
1929年、琉球古典音楽野村流の研究家・照屋林山の長男として大阪に生まれる。
1936年、7歳の時に家族とともに父の故郷・沖縄県に移住。16歳時にアメリカ軍の捕虜となった。
琉球古典音楽研究家で、のちに「沖縄のチャプリン」とも呼ばれた小那覇舞天に強い影響を受ける。
終戦直後、石川市(現在のうるま市)に設けられた難民収容所で悲しむ人々の間で、舞天とともに「生き残ったことをお祝いしよう」と歌を歌いながら呼びかけた。
また、舞天とふたりで、村々を巡って「命の御祝じ(ヌチヌグスージ)」と称し、芸で人々を元気づけた。
〜中略〜
1990年に沖縄市で「コザ独立国」の建国を宣言。自身も「終身大統領」を名乗り、東アジアやアメリカの文化をチャンプルー(「ごちゃ混ぜにする」の意味の方言)した「チャンプラリズム」で新たな沖縄芸能・文化の方向性を模索していった。
〜中略〜
1994年に沖縄市文化功労賞、2000年に沖縄県文化功労賞を受賞。
〜中略〜
2000年頃から足指が壊死するなど糖尿病が悪化して療養しながら、講演活動もしていたが、2005年3月10日に合併症の肺炎のため具志川市の病院で死去。コザ独立国の大臣や大使らが遺志を継いで、5月に「国葬」が行われた。―Wikipedia「照屋林助」より
…なんとも、盛りだくさんでユニークな人生。そして、豪華な子孫…!
「照屋林助」の名前をここで初めて知った方も、「なんかいろんな意味で、すごい人なんだなあ」と感じてくだされば嬉しいです。
この「年中口説」は、そんな林助師匠が「沖縄の年中行事をみんな忘れてしまいそうだから、書き残しておかないと」という使命感とともに書いた歌詞、とご本人がラジオで仰っていたのを覚えています。
「年中口説」の歌詞の意味
一番
昔々大昔
(昔々、大昔)あまん人ぬ神々ぬ
(天上の人である、神々の)天から降りてぃ いもち
(天から降りていらして)作たる島々や
(作った島々は)守礼ぬ邦んでぃ言んてぃんど
(守礼の邦といったのだぞ)くぬ事 ちっと くくりりよ
(この事をしっかりと心得よ)二番
正月ㅤㅤ二月ㅤうまちーど
(正月、二月は豊穣祈願の「ウマチー」だぞ)三月ㅤㅤ三日ㅤや浜遊び
(三月三日は浜遊び)四月ないねーあぶしばれー
(四月になれば、あぜを祓う「アブシバレー」)五月ハーリー四日ぬ日
(五月はハーリー、四日の日だ)ハリテンテンハリテンテン面白むん
(ハリテンテンハリテンテン、面白いもの)まじゅんかながな見が行かや
(一緒に仲良く見に行こうね)三番
六月ないねー綱引ちどー
(六月になれば綱引きだぞ)七月エイサー スリサーサー
(七月エイサー、スリサーサー)八月ㅤ八日ㅤトーカチやさ
(八月八日は「トーカチ」、米寿祝いだよ)十五夜ないねー村遊び
(十五夜になれば村遊び)キリリンボンボンキリリンボンボン面白むん
(キリリンボンボンキリリンボンボン、面白いもの)まじゅんかながな舞うやびら
(一緒になかよく踊りましょう)四番
九月ㅤㅤ九日ㅤㅤ菊酒ㅤどー
(九月九日は菊酒だぞ)十月タントゥイかままーい
(十月は種取祭、かまどまわりの祈願「かままーい」)霜月ないねー冬至じゅうしぃ
(十一月になれば冬至雑炊)師走ないねー鬼ムーチー
(師走になれば 鬼餅)力ムーチーまぎまぎとぅ
(力餅大きく)童んちゃーに抱かさなやー
(子ども達に持たせたいねえ)※下線部分をクリックすると、語句を説明するサイトが別タブで開きます。
※上記の訳については、かなりの部分を「たるーの島唄まじめな研究」から参照させていただきました。ありがとうございます!
リンク先も合わせて読むことで、かなり沖縄の年中行事に詳しくなれる曲です!
照屋林賢さんによる華麗な三線。
そこんじょそこらのカチャーシーよりも、速い曲です。
いきなり心が折れそうになりますが、意外にも(イージーモードであれば)手はそれほど難しくないので、ゆっくりゆっくりチャレンジしてみてください。
りんけんバンドの音源をそのまま耳コピした、ハードモード工工四。
「唄持ち」部分がだいぶわかりにくいメロディーとなっています。
もし、こちらの工工四にチャレンジするなら、下記PDFの楽譜に記載されているメロディーを伴奏として別の楽器にお願いすることで、聴いている側に優しい、わかりやすいメロディーになるかと思います。
練習用の音源です。
では、今日はこのへんで、ぐぶりーさびら!
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屋号 | ウィッグリリア/宇部沖縄三線愛好会 |
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〒755-0022 山口県宇部市神原町2-5-10 レントハウス神原22号室 |
営業時間 |
10:00~17:00 定休日:火曜、土曜、日曜、祝日 (沖縄三線愛好会は火曜10時から) |
代表者名 |
シマブクロ サチコ(シマブクロリリア) 島袋 幸子 (島袋りりあ) |
info@zurazura.com |
ブログ拝見させていただきました。
りんけんバンドの工工四はとても貴重ですね。ぜひ、イージーモードバージョンの弾き方のコツなども動画してほしいです。
ちなみに島袋さんの教本も持っています。
コメントありがとうございます!
あの教本をお持ちとは…!とても嬉しくありがたいです。
りんけんバンドさんの楽曲は、工工四がなかなか見つからないんですよね。貴重さを分かち合うことができて、それも嬉しく思います。
弾き方を動画でアップできたら、とは常々考えているのですが、動画は撮るのも編集もなかなかの作業量になってしまうので、つい後回しにしてしまっています。
でも、コメントをいただけたことで、やる気が湧いてきました。
今取り組んでいるイベントなどが終わって落ち着いたら、動画にも再度取り組みたく思います!
島袋りりあ(幸子)