主催者不在の、コロナ禍の中での、音楽イベントの作り方
はじめから、仕切り直し
10月のイベントは、何の準備もできないまま…
エルザとの会話の後、このイベントを降りることを真剣に考え始めた8月末、隣の市の繁華街で、コロナ感染のクラスターが発生しました。
その影響で、宇部市立の公共の建物への出入り制限が課されることとなり、結局一回の打ち合わせもない状態で、「音楽の祭日」は流れました。
エルザには悪いな、と思いましたが、正直、ホッとしました。
手刷りの、モノクロのぺらぺらの(そしてきっとダサい)印刷物で宣伝しなくてよかった。
A氏が何をしたいのか、どんなイベントにしたいのか、音響や照明はどうなのか、司会はどうなっているのか、何も連絡がない状態で不安を抱えながらの出演なんて、しなくて済んでよかった…!
しかし、そうは問屋が卸さなかったのです。
お疲れ様です。
10/11の「音楽のいずみ」イベントが延期になり、皆様には大変ご迷惑をおかけしております。
1/17で再調整しておりますが
ご都合はいかがでしょう?
コロナ状況、先行きは定かではありませんが会場の予約可能日がこの日だけとのことなので日程は動かせないようです。
ご都合つけばご参加よろしくお願いします。
Aさんからとりまとめを頼まれましたので
お返事はわたくし品川までお願いします。
え?!
なんでさとみんが取りまとめてるの?
Aは、何をしているの?
てか、イベント名が変わってる?!
一体なんのイベントなのかも知らされないまま、すべてをさとみんに丸投げ。
上記のさとみんからのメッセージのあと、さとみんと話してみてわかったことは
心の中では「なんで私?」と思っているけど、乗り掛かった船だから、仕方ないのかと思ってた。
音響だけはちゃんとしたところに頼んでいる、と聞いた。
他にわかっていることは、会場がこの日しか使えないことだけ。
主役のエルザが出られるかどうかすらA氏は確認してない。
幾ら何でも、これはない。
さとみんは優しすぎる。
わからないことだらけじゃないか。
A氏は、人の質問に、きちんと答えを返せない人です。
もやもやとした話し方で、すべての答えが明後日の方向を向いていて、結局何が言いたいのかまったくわからない。
そんな、A氏との細かい連絡事項を全部さとみんが請け負っていたら、さとみんが泡を吹いて倒れてしまう。
面倒ごとを抱え込みたくない。が、…。
さとみんと話したあと、すぐに私はFacebookのメッセンジャーでグループを作り、関係者(A氏と、出演者のなかで私とFB友人になっている人だけ)を招待しました。
さとみんの負担を、皆で平等に分け合うために。
出演者の年齢は40代から50代前半、とやや高め。そして出演者よりも一回り以上年配のA氏。その全員で同時にグループで連絡を取り合えるのはFBのメッセンジャーのみなのです。
A氏は、LINEが何なのかもわかっていません。FBメッセンジャーの機能の一つだと思い込んでいます。
とにかく、さとみんだけにこの重荷を負わせてはいけない。
全員で、平等に、A氏のわけのわからなさを背負って、聞き出し、理解できなくてもどうにか理解するように努めないと。
それくらいの、わからなさなんです。
誰か一人に任せていいものでは決してありません。
デザイナーさんの苦悩、そしてB氏の脱退。
すぐに、出演予定の4組(satomin de M、ちょっちゅね〜、エルザwith、そしてB氏)全員が1月17日は出演可能なことを確認。
グループでやれば、スケジュール確認を誰かに一任せずとも、一発で済むのです。
そして、A氏の劇団所属のMさんが、A氏からの紹介でデザイナーとしてグループに加わりました。
デザイナー不在を覚悟していた私たちは、心から、ホッとしました。
しかし、混乱は、ここから。
まずはチラシを作ろう…と言っても、A氏からMさんに知らされているのは
「音楽のいずみ」
「宇部市制100周年プレ事業」
「宇部で活躍するアーティストが出演」
のみ。
「イメージが、まったくつかめません…!」と苦悩しておられるのが手に取るようにわかりました。
そりゃそうです、私たちにもまったくイメージが湧かないイベントです。
何がしたいのか。目的は?
何を伝えたいのか。趣旨は?
誰も、答えなど持っていませんでした。
デザイナーMさんの求めに応じて、各々がプロフィールや写真をグループに送信しました。
そのやりとりの中で、エルザがトリであり、演奏のみならず講演もある、ということを初めて知ったB氏。
「僕は、これまでの音楽人生を、『誰の前座も務めない』ことをモットーにやってきました。
大変心苦しく、申し訳ないのですが、僕は、ここには参加できません。
今回の公演についてよくわからないまま受けてしまった僕の責任です。
エルザさんはじめ皆さんに失礼をしてしまうことになりますし、ご迷惑をおかけしますが、どうかご理解ください」
丁寧な、紳士的な物腰のまま、でも、この瞬間まで内容について誰からも何も知らされなかった怒りを内に秘めながら、B氏はグループを去りました。
さらに、そのあと、イメージが湧かずに苦悩していたデザイナーMさんが、辞退されました。
A氏を船頭とする泥舟が、大きく傾いて沈み始めるのが見えました。
やる気になっているのは、A氏とエルザだけ。
あとの全員(私も)は、もう中止でいいんじゃないか、と内心思っていました。
エルザに悪いと思って、口には出さなかったけども。
<次ページ、なぜに主催のA氏が全てを演者に丸投げするのか。原因を「演劇」と「音楽」の公演の違いから探ります。>
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