主催者不在の、コロナ禍の中での、音楽イベントの作り方
音響、照明について
音響技師とのすれ違い
さて、少し時間を巻き戻します。
最初のほうで、「A氏は、音響だけはきちんとしたところに頼んでいるらしい」という不確定な情報がありました。
心配のタネのひとつ(それにしても、心配のタネが多すぎ)ではあったのですが、こちらは本当にきちんと、プロのNさんにお願いしてありました。
ここで、今一度、A氏と出演者以外の登場人物を出します。
音響Nさん:音響機材のレンタル、PA全般を扱う音響技術者。
照明Kさん:A氏の知り合いとして駆り出されたらしい。舞台照明のプロ。
司会Hさん:本来、照明アシスタントとして参加予定だったが、司会者の不在により急遽司会に抜擢。
デザイナーMさん:A氏の劇団に所属。普段は劇団のチラシ等を作っている。このイベントには初期のみ関わって離脱されたが、その後A氏について色々と教えてくれる。
NPO法人代表Sさん:受付スタッフとして、運営するNPO(すべての子どもが「豊かな子ども時代」を過ごすことができる環境づくりに寄与する、という理念)の方々を引き連れて駆けつけてくださった。
音楽のイベントですから、音響は大事です。
各自、それぞれ楽器の構成も音楽のジャンルも違うので、できるだけ早い時点で音響の方と打ち合わせをしたいところです。
ここでも、A氏が我々の前に立ちはだかります。
「え、僕が全部言っちょくけえ。」
後生です、一生のお願いです。あなたでは絶対に伝わりません。私たちが直接やりとりできる連絡先をください!!
エルザ、さとみん、私の3人でほぼ脅すようにして、Nさんの電話番号をA氏からゲットしました。
が、時すでに遅し。
A氏から何の連絡もないため17日のイベントはない、と判断したNさんは、他の仕事を17日当日に入れてしまっていました。
「Aさんいつもこうなんだよ。ちゃんと信頼できる同業者を代わりにアテンドするから、安心して!」
ため息しか出ません。
照明のKさんとは、間一髪で直接話ができた…!
同じようなことが、照明スタッフとの間にも起こりそうな予感がしていた1月3日。
A氏からグループにメッセージが入りました。
明日照明をお願いします○○で照明をされている方と打ち合わせします。何か伝えることが有れば伝えます。
1月3日です。松の内どころか三ヶ日。
しかし、「A氏に任せていては、伝わるものも伝わらない」ことが身にしみている我々演者は、メッセージを読むなりお屠蘇気分を放り投げ、至急万事繰り合わせて、翌4日の打ち合わせに参加することに決めました。
危機一髪でした。あぶなかった。
A氏のことだから、
「こないだ照明さんに会った」
「打ち合わせは、終わった」
という報告だけで、このあとイベント当日まで大きな働きをしてくださった照明のKさんに前日リハで初めて会う可能性も大いにあったわけです。
考えるだに恐ろしい。
若いKさんの機転と気働き
公演を二週間後に控えた1月4日、初めて照明のKさんとお会いしました。
やはりと言うべきか、イベントのチラシすらKさんに渡っておらず、
「ご無沙汰しています、Aさん。…ところで、17日のイベントって何なんですか?」
という挨拶から始まりました。
A氏よ…。
当時決まっていたことだけがざっくりと書かれたタイムテーブル(ちょっちゅね〜のピッコロ尾崎作成。感謝です)を私が印刷して全員に手渡し、その紙を見ながら、タイムテーブルを含めた資料が入ったパソコンを持ち込んだ私と、性能の良さそうなタブレット持参のKさんを中心に話し合いを進めました
Kさんは、イベント当日へ向けての準備の現状を、迅速に、正確に把握してくださり、さらにFBメッセンジャーのグループに参加してくださったうえで、照明スタッフとしてご自身にできることをわかりやすく解説してくださいました。
さらに、全体の流れをざっとチェックしたKさん、
「司会は、どなたかに頼んでおられますか?」
…いいえ。我々が全部自分たちでやるつもりでいました。
「開演、終演のアナウンスや休憩時間のアナウンスなどは、慣れている人のほうがいいですよ」
と言うが否やスマホを取り出し、
「声優のような、声で役柄やいろんなことを表現する勉強をしている知人がいます。MCも経験しています。彼女に頼んでみましょう」。
もう、頭が上がらないとはこのことです。
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