同じ人毛ウィッグなのに、髪の傷みが早いものと、そうでないものがある?!
人毛100%のウィッグで、髪の傷みの早いウィッグの特徴
寝ても覚めても頭から離れないヘアロスによるウィッグの悩みに寄り添いたい、ウィッグリリアの島袋です。
決してお安くはない人毛100%のウィッグですが、扱い方によっては髪がすぐに傷んでしまうものがある、というのが実情です。今回は、「傷みにくいウィッグ」と「傷みやすいウィッグ」の違いについて、髪の加工の工程からその理由を探ります!
ズバリ、加工する過程が多いほど、すでに髪が傷んでいます
憧れの人毛100%のウィッグ。
できるだけ長く使いたいですよね。
しかし、残念ながら、どんなに美しく見えても、ウィッグの購入時点ですでに髪の傷みが始まっていることがあります。
この記事では、出荷時点で髪の傷みが始まっているため、取り扱いに注意が必要なウィッグについて、主にその理由を解説していきます。
ウィッグの製造工程を公開
ひとことで言うと、「ウィッグを製造する過程で、髪を加工する工程が多いほど、髪は傷んでしまう」ということになります。
毛髪の加工についての説明の前に、人毛ウィッグを製作する(ざっくりとした)工程をご覧ください。
太字の部分は「毛髪そのものへの加工」を表しています。
❶ 仕入れた毛髪を産地ごとに分けて管理します。
❷ 産地が同じ毛髪を、さらに髪質や太さで分別します。
❸ キューティクルの向きを揃えて、根元付近を酸で処理します。下記※注1、2
❹ カラーリングを施します。下記※注3
❺ ベースに毛髪を手作業で植えつけます。
❻ (レースフロントウィッグの場合)ヘアバンドルを特殊なミシンで作製します。
❼ 毛髪を植えたベースやできあがったヘアバンドルに、必要であればブリーチや染色を施します。(必要ない場合はこの過程をスキップして❽へ)
❽ さらに必要であれば、パーマ加工、ストレート加工を施します。
❾ レースフロントウィッグは、レース部分とヘアバンドル部分とを組み上げてウィッグの形にします。コームやストラップを付けます。
❿ ウィッグ全体をシリコンでカバーし、ツヤを出して完成です。
※注1.
消毒のため、という意味合いと、キューティクルをある程度溶かして髪の表面を滑らかにして加工しやすくする、という二つの意味合いがあります。※注2.
仕入れた時点でキューティクルの向きが不揃いな場合があります。主にインド産の毛髪にその傾向があります。その場合は毛髪全体を酸で処理するため、この時点ですでにある程度毛髪全体が傷みます。ウィッグリリアのこちらの記事をご参照ください。※注3.
毛質と太さが似ている毛髪の寄せ集めなので、色合いにばらつきが出ます。それを目立たなくするために、ナチュラルカラーの製品であっても、ここである程度の染色をします。ブラウンやブロンド一色の製品も、この時点でブリーチや染色を施します。
毛髪は、ウィッグになるまでに、化学処理や熱処理などの加工がなされています。
加工の工程が多いほど、髪は傷みます。
すでに傷みが始まっているウィッグは、使い始めてからの傷みの進行も早いのです。
つまり、傷みの進行が遅いウィッグ=毛髪の加工を最小限に抑えたウィッグ、と言うことができます。
加工の工程が一番少ない、傷みにくいウィッグとは
どのウィッグであっても、上記の工程のうち、❸(根元の酸処理)と❹(色合いを揃えるための染色)の工程は、必ず通ることになります。
逆に言えば、❸と❹以外に加工されていないタイプのウィッグであれば、製品として出荷される時点での毛髪の痛みが最小限に抑えられている、ということです。
具体的には、上記の商品のような「ナチュラルストレート」、さらにカラーも「ナチュラルブラック」のものが、一番毛髪の加工工程が少ないもの、ということになります。
ナチュラルストレートのウィッグは、ヘアアイロンだけかけて、さらにツヤを出すためにシリコンでカバーして出荷されます。ですので、新品状態での見た目はストレート加工を施した「シルキーストレート」のウィッグと同じように見えますが、一度洗うと艶々のストレートだった髪が、ふわっとしたウェービーな髪に戻ります。
ストレート加工などをしていないので、元々の毛髪の持つクセがそのまま出てしまうのです。
どうしても艶やかでまっすぐなストレートにしたい場合は、別途ストレートパーマを施すか、または毎日ヘアアイロンでクセをつける必要があります。
しかしその場合、やり方によっては髪の傷みの進行を早めることがあります。
ちなみに、私が愛用している同じタイプのウィッグ(55センチのロングヘアーです)は、2年以上、新品当時の風合いが変わることなく使うことができています。
ヘアアイロンは時々かける程度で、髪に負担をかけすぎないよう気をつけています。
髪の色を変える加工、ブリーチ、ヘアダイ。
髪色を明るくする、製造工程の❼(ブロンドの場合は❸)について、みていきましょう。
※以下、それぞれの加工での毛髪の傷み具合を、3段階に分けて、顔文字で表しました。
…ダメージは少なめ
…ややダメージあり
…ダメージ大きめ
ブリーチ、ヘアダイの種類とそのダメージ度合い
全体をブラウンにする
全体をブロンドにする
毛先のみ、または部分的に明るいブラウン(ツートーン、ハイライトカラー)
毛先をブロンドにする(ツートーン、ハイライトカラー)
原料となる毛髪は、日本人の髪色に近い自然な黒髪です。
色を明るくするほど、髪のダメージは大きくなります。
ブリーチした髪は、弾力性やしなやかさに乏しく、ブラッシングや乾燥、摩擦の影響を受けやすくなります。
傷みが進行すると切れ毛が多くなり、また、髪が途中で折れ曲がったような、パサパサの髪になります。髪の中心部のタンパク質が折れてしまい、表面のキューティクルだけでかろうじて繋がっている状態です。
髪は、中心部から折れてしまうと、どんなにスタイリング剤を使おうがトリートメントを施そうが、元には戻りません。
この状態になってしまうと、少し頭を動かしただけで髪がもつれてしまうため、ウィッグを使い続けることが困難になります。
髪をまっすぐにする、ストレート加工。
次に、製造工程の❽のうち、ストレート加工について。
ストレート加工(縮毛矯正)
人工的に作ったストレートの髪で、いわゆる「縮毛矯正」の加工がなされています。
薬剤と熱で、もともと軽くウェービーがかった髪を、まっすぐなストレートにしています。
ウィッグリリアで「シルキーストレート」としてお取り扱いしているものは、この加工が施されています。
ナチュラルストレートのように、一度洗うだけでウェーブが蘇ってしまうことはありません。まっすぐなストレートのまま、キープします。
このタイプのウィッグは、ブラッシングや、服の襟、また枕カバー等との摩擦に弱く、乱暴に扱うと数ヶ月でギシギシした、しなやかさに欠ける髪になってしまうことがあります。
つまり
ストレート加工(縮毛矯正)+乱暴なブラッシングや適当な取り扱い
こういうことになります。
ウェーブ、カールなどのパーマ加工。
ウィッグは、頭に生えている毛髪と違って、思い切った加工ができます。
ロッドを巻いた状態で、スチーム処理をすることで、カールやウェーブを作ります。
蒸し器で蒸すような感じだと思ってください。
そうすることで、しっかり、くっきりと、落ちないパーマを作ることができるのです。
パーマ加工(スチーム)
気になる髪へのダメージですが、スチームの熱処理だけなので、実はそれほどでもありません。ですが、スチーム処理以降、髪が本来持つしなやかさは半減し、がっちりとカールの形で固まります。
そのため、頭から直に生えた「しなやかで生きている毛髪」と同じように扱うと、すぐに摩擦でダメになってしまうのです。
さらに、加工する際に巻いたロッドが細いと、そのぶん、扱い方が急に難しく、また面倒になります。
ゆるめのウェーブ加工+間違った取り扱い
ディープなウェーブ加工+間違った取り扱い
さらに、ストレートやウェーブの加工にブリーチ、ヘアダイが加わると一層扱いを慎重にする必要があります。
でも、憧れのヘアスタイルをあきらめたくない!
今日は「傷みの早いウィッグ」は「毛髪の加工工程が多い」、つまり美しくオシャレに加工されたウィッグであるほど傷みが早いという、ある意味シビアな、夢のない話でした。
でも、せっかくウィッグを使うのなら、なるべく長く、おしゃれを楽しみたいですよね。
人毛ウィッグの髪を傷めない日頃のケアについて別記事にしています。
ウィッグを長く楽しむため、よろしければご参照ください。
また、ウェービー、カーリーヘアのウィッグについての取り扱いの注意事項を、近日中にまとめて記事にします!
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